この集まりは、1996年年末の死刑執行を受け、本当にこれ以上執行させたくないそのために私たちに何ができるだろうか、と話し合う中から、うまれました。

さまざまな地域の方々が地道に(ときには派手なパフォーマンスも含め)それぞれ創意工夫をこらして運動を展開している、そのスタイルを見習いながら、私たちは処刑場を持つ東京拘置所周辺の地域運動として死刑廃止の声をあげていこうと思いました。

しかし「死刑廃止」を前提とすると、これからいっしょに考えていけるかもしれない人たちとの回路を閉ざしてしまいそうで「死刑について考える」会としたものです。

また、私たちの中にも、いきなり「廃止」とは呼びかけづらい、せめて「考える」ということであれば・・・という仲間もいます。
そして、綾瀬駅前でビラを配ることから始め、執行に抗議するデモや地域ビラ入れ、ミニ集会などを重ねてきました。

ビラ配布後にミーティングをもち、反省や次回の日程・ビラの内容等を相談していますので、意見や提案などもお待ちしています。

どうぞ、気軽に声をかけてください。

X(Twitter)も行っていますので、こちらもよろしくお願いします。https://twitter.com/AyaseSobanokai

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4月のビラ №316(2024年4月27日) 

            ある死刑囚のこと

 1月26日、1970年代に起こった「連続企業爆破事件」に関与したとされ、指名手配されていた桐島聡さんが、入院中の病院で名乗りを上げた後死亡したというニュースが大々的に報じられました。長髪で笑顔の写真は、交番やJRの駅などで見て記憶にある方も多いでしょう。

 そして背景に(桐島さん自身は関与していませんでしたが)三菱重工ビル爆破事件の映像が流れたのを機に50年前の「事件」があちこちで取り上げられることになりました。
 1974年8月30日丸の内の三菱重工ビルが爆破され、死者8人、重軽傷者380人の犠牲者を出しました。その後、一連の企業爆破といわれる事件が続き、翌年の5月容疑者として「東アジア反日武装戦線」を名乗る人たちが(支援の1名を含め)一斉に逮捕されました。


 1960年代からの若者たちの反乱は、全共闘の終焉、新左翼同士での内ゲバ、そして内部での殺し合いが明らかになった連合赤軍の事件を契機に一気に衰退しました。「東アジア反日武装戦線」は、そのような左翼党派とは異なった道を選んだのです。戦後史を研究するなかで、敗戦後の日本の姿を検証しようとしました。先の侵略戦争への反省から、戦力不所持、戦争放棄をうたう憲法9条は制定されましたが、アメリカとは軍事同盟である日米安保条約を結び、沖縄には広大な米軍基地を作り、自衛隊も発足しました。日本は朝鮮戦争で戦後復興を果たし、ベトナム戦争では米軍の基地の役割を担って経済成長を続けたのです。「東アジア反日武装戦線」は戦前の植民地支配と侵略戦争の片棒を担いだ大企業が、反省も補償もしないまま戦後も続いていることに異議を申し立てたのでした。広島と長崎の悲劇から、戦争の被害国であるようにふるまい、アジアへの加害国であった事実を忘れ果てた日本を顧みようとした行動だったのです。

 三菱重工事件の実行者のうち、益永(片岡)利明さんと大道寺将司さんの二人が死刑判決を受けました。益永さんは今も東京拘置所で病に臥せっています。大道寺さんは2017年5月死刑囚のまま東京拘置所で病死しました。
 三菱重工の事件でたくさんの犠牲者を出したのは、爆弾の威力が彼らの想定以上だったこと、またビルから降り注ぐガラス破片が犠牲者を増やしたこと、事前に予告電話をしたがそれが受け止められなかったことなど不幸が重なりました。事件後の声明で「犠牲者は『同じ労働者』でも『一般市民』でもない」と決めつけたのも過ちであったと認識し、その苦しみと向き合いながら大道寺さんは死なせてしまった人々を思うことなく過ごした日は一日もなかったでしょう。


 獄中で俳句を作るようになった大道寺さんは俳句で自己の内面を明らかにし、自らの加害を悔いる作品をいくつも詠んでいます。

   死者たちに如何にして詫ぶ赤とんぼ
   ゆく秋の死者に請われぬ許しかな
   加害せる我花冷えの中にあり

 「死刑囚である私が作句を喚起されるものと言えば加害の記憶と悔悟であり、震災と原発、そしてきな臭い状況などについてということになるでしょうか」と最後の句集『残の月』のあとがきに書いています。

 大道寺さんの母である幸子さんは、死刑囚の母として日本の死刑制度の実態や死刑囚の人権について語り続けてきましたが、2004年に亡くなった後残された預金をもとに基金が設立され今も「大道寺幸子・赤堀政夫基金」として「死刑囚表現展」を支えています。(K)

 

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